2024年7月以降、「KITTE大阪」「イノゲート大阪」「グラングリーン大阪」とキタで新スポットの開業が相次いだ。しかし、「ニシ」エリアも負けてはいない。2025年4月から開催される大阪・関西万博を皮切りに、ベイエリアでさまざまな開発が予定されている。様変わりする「ニシ」の開発を整理した。
2024年7月以降、「KITTE大阪」「イノゲート大阪」「グラングリーン大阪」とキタで新スポットの開業が相次いだ。しかし、「ニシ」エリアも負けてはいない。2025年4月から開催される大阪・関西万博を皮切りに、ベイエリアでさまざまな開発が予定されている。様変わりする「ニシ」の開発を整理した。
「ニシ」の開発、最大の目玉は、何と言っても大阪湾の人工島「夢洲」(ゆめしま)だ。2025年に「大阪・関西万博」、2030年に大阪IRの開業と巨大開発が目白押し。2025年日本国際博覧会協会で広報・プロモーション局長を務める小林浩史さんは「大屋根リングの円周約2キロの中に、各国が今一番面白いと思っているものすべてがギュッと詰まっている。またとない機会をぜひ体感してほしい」と力を込める。
同地へは大阪メトロ中央線が「コスモスクエア」駅から延伸され、2025年1月19日に「夢洲」駅が開業する。同線は、大阪・関西万博会場へ直接乗り入れる唯一の鉄道アクセスルートとなる。
2025年日本国際博覧会協会提供
大阪IR株式会社提供
大阪府は、大阪・関西万博の来場者を大阪城や道頓堀など市内の観光拠点に船で誘客するため、安治川左岸(大阪市西区)に船着き場「中之島GATEターミナル」の整備を進めている。海船と川舟を乗り換える水上観光の結節点となる。
大阪市中央卸売市場を目の前に控えるロケーションを活かし、新鮮な食材を使用したレストランの他、グランピング施設などを整備。「空飛ぶクルマ」の離着陸場を設ける計画もある。インバウンドや富裕層をターゲットとしたクルージングプランも造成する。
大阪市提供
天保山では2024年春、新たな客船ターミナルが建設された。延床面積は約5090平方メートルと旧ターミナルの約2倍。将来的には22万トン級のクルーズ客船にも対応できる施設計画だ。クルーズ客船の母港化、にぎわい創出と集客力強化、天保山エリアの環境魅力向上の3点を軸に世界水準の客船ターミナルを整備。クルーズ客船が入港することで周辺施設への経済波及効果が期待できそうだ。
大阪市提供
万博開催区となる此花区でも開発が進んでいる。まずは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに隣接する桜島エリアだ。此花区長を運営委員長とする「此花西部臨港緑地エリア水辺賑わいづくり協議会」は、水辺遊歩空間の整備を行う事業者を募集し、合同会社「桜島開発」を選定。基本コンセプトを「Osaka Sakurajima Resort Gate Park」とし、遊歩道やテラス、潤いが感じられる緑地などを2028年までに整備。
同社は同エリアの隣接地に大規模ホテルの建設も計画している。今後の一体的なエリア開発に期待が高まる。
大阪市は、此花区の常吉西臨港緑地において、にぎわいづくりなどを行う事業者にbiid(ビード)(神奈川県藤沢市)を認定した。同社は「目的地にも立ち寄り地にもなれるキャンプ場」という事業コンセプトを基に、オートキャンプ場をはじめとした施設が楽しめる「アクティビティゾーン」と地域のにぎわいとなるような「イベントゾーン」を展開予定。臨港緑地としての機能や利用者の利便性を高める駐車場の整備、飲食・物販などのサービス機能を充実させ、市民が大阪湾の魅力を体験できる場づくりを目指す。
此花西部臨港緑地エリア水辺賑わいづくり協議会提供
大阪市提供
JR・阪神「西九条」駅
大阪駅へJR大阪環状線で直通5分
(グラングリーン大阪開発事業者提供)
大阪市内中心部ではタワーマンションの建設が相次ぎ、「億ション」が当たり前になっている。日本の平均的な所得の世帯では、市内中心部の新築分譲マンションの購入は難しいのが現状だ。
中心部から少し離れた地域でも価格は上昇している。ベイエリアの玄関口・「弁天町」駅周辺の路線価は前年から10・6%増となった。万博開催やIR開業への期待感が価格を押し上げているようだ。
そんな中、「住む街」としての利便性が高く、将来の資産性にも期待できる街として「西九条」に注目していきたい。西九条はキタ・ミナミ両方にダイレクトアクセスできる点が最も優れたポイントだ。「西九条」駅からJR大阪環状線で「大阪」駅へ直通5分(通勤時6分)、阪神なんば線で「大阪難波」駅へ直通8分という利便性は、もっと高く評価されるべきだろう。
※出典:週刊大阪日日新聞2024年9月28日号掲載
※掲載の環境写真は2023年12月に撮影したものです。